knock yourself out
今日はこの表現です。
しばらく前に、"You don't say" という表現について書きました。デス妻の Lynette がよく使う、というか口癖にしていたフレーズです。
その時も言ったと思いますが、彼女は本当に特徴的なしゃべり方をするんです。夫の Tom とけんかをするシーンで Tom が彼女のしゃべり方を真似して 「俺だってそういうしゃべり方できるぞ」みたいなこと言ってましたが、ドラマの中でも彼女のしゃべり方をいじってるんですね。writer が役者とキャラの特徴をうまく使った面白いやり取りでした。
どうでもいいですが、今彼女のキャラ名(スペル)をググってたら、演じていた Felicity Huffman が子供の裏口入学詐欺かなんかでその他数十人と一緒に逮捕されたとかいうニュースが欧米芸能メディアを賑わせていました。彼女は全然美人と思わないんですが、役者としてはなかなか面白いと思ってたので残念(棒)。
話を戻します。Lynette がよく使う言葉でもう一つ紹介したいのがこちらです。
knock yourself out
せっかくなので Lynette が出てくるシーンを使いましょう。Desperate Housewives Season 1 Episode 13 からでございます。
息子の Parker(チビ)が家の屋根に上って降りられなくなっています。Lynette が梯子を使って Parker を下ろそうとしますが Parker は怖がって動きません。そこに夫の Tom が Grandpaを連れて車で帰ってきました。梯子から下りてきた Lynette と挨拶(抱擁)を交わした Grandpa は屋根の上の Parker に声をかけます。
Grandpa: Hey, Parker! Come on. Aren't you going to give me a hug? It's grandpa!
おい、Parker!降りてきたらどうだ。ハグしてくれないのか?おじいちゃんだぞ!
Lynette: Don't take it personally. He's scared to climb down.
(ムスッとしてる Parker を見て)気にしないで。怖くて降りられないだけなの。
Grandpa: Oh. Can I give it a shot?
そうか。俺に任せてくれるか?
Lynette: Yeah, sure. Knock yourself out.
ええ、もちろん。お願いするわ。
Grandpa: Yeah.
よし
Lynette: Be careful.
気を付けてね。
give me a hug, don't take it personally, give it a shot, ...
短いですがシンプルでいい表現がいっぱい詰まった会話ですね。けど敢えてそれらは無視。
knock yourself out について解説するブログ記事なんかを見ると「お好きにどうぞ」「楽しんで」
なんて言葉が意味として出てきます。まぁそういう意味にもなります。ただやはり文脈によるんです。上のシーンには当てはまらないですよね。
もともと "knock out" という言葉, "knock someone out" で「誰かを殴り倒す」というのが大元の意味です。いわゆるK.O.ですが。
で、辞書にはこういう意味も定義されてたりします。
(INFORMAL) astonish or greatly impress someone.
口語表現で「誰かを驚かす」という意味だそうです。元の意味から転じてこういう使われ方をするようになったのでしょう。
「自分自身を驚かせる」というのがさらに転じて「お好きにどうぞ」「楽しんで」なんていう意味でも使われるようになったんだろうと思います。転じすぎだろう・・・。
いづれにしてももはや慣用表現と言ってもよく、単純に "go ahead" と同義で使われるような場面もあります。上のLynette のセリフはまさにそんな感じです。
このフレーズをスラングだと言っている人がいるみたいですが、スラングではないですよね。カジュアルで口語的な表現ですが、上手に使えばそこまで俗っぽくないような気がします。
daughter : Mom! There is a deer!
mom : You don't say.
daughter : Can I go watch it?
mom : Yeah. Go ahead. Knock yourself out.
滅茶苦茶 Lynette っぽい・・・。私が考えた会話ですが、このお母さんはきっと Lynette です。