He is the richest of anyone.
前回からの続きです。
リンクを貼っときますので引用した会話はこちらからご確認ください。
https://www.belpenglish.com/single-post/2020/05/04/There-are-strings-attached
3. from my heart to your mean attitude
Michael の言葉遊びがてんこ盛り。
この表現なんですが、元々は "from my heart to yours". 手紙なんかに沿える言葉のようです。何となく意味は分かるかと思います。私の心から(from my heart) あなたの心へ(to yours).
心を込めて、とか何とかそんな風に訳すんでしょうか、日本語にするなら。
Michael はこの表現をわざわざ使ってるんです。君の厳しい仕打ちに対して心から許してくれと言っているんだよ、と。
普通は会話では使いませんよ。ただ、Michael のように敢えて、わざと使うのはありかもしれません。冗談っぽく、あるいは皮肉っぽく聞こえるように。前にも言ったと思いますが、アメリカ人なんかは皮肉が大好きですから。
I have to tell this from my heart to yours. You are an idiot.
心を込めて言うよ。お前、阿保だろ。
最近例文が粗野になって来たなぁ。。。
4. bribe
ご存知ですかね。意味は(名詞)だと”賄賂”、(動詞)だと”賄賂を贈る” です。難しい言葉でも何でもないんですが、敢えて注目してみました。
英語の bribe と日本語の賄賂、実際には少し意味が違うんですよね。こんな例は英語と日本語の間で腐るほどあるのですが、このケースの場合、bribe の方が意味が広いんです。
実際 Pam が Michael に向かって "You're bribing me?" と言ってるのですが、考えてみてください。誰かに何かを赦してもらうために金品を渡すことを賄賂、とは言いませんよね?
良家の娘がその辺のチンピラと付き合ってるのを、父親が金を渡して「娘とは2度と会わないでくれ」なんて三文ソープオペラのワンシーン。これも日本語だと賄賂、とは言いませんよね?ですが、英語だと bribe でいいんです。英英辞書を引いてみましょう。
bribe /verb : dishonestly persuade (someone) to act in one's favour by a gift of money or other inducement.
うん、やはり bribe の方が賄賂よりも意味が広いと思います。誰かを金品で買収したり懐柔したりするのも bribe なんですよ。
繰り返しますがこんな例はいくらでもあります。日本語と英語では言葉の意味が必ずしも一対一で対応しているわけではありません。だから難しく、又おもしろいんです。当り前のことと思われるかもしれませんが、英語の勉強をする際に少し意識していただければと思います。
おまけ
今回は少し気になった表現もあったので取り上げてみます。
I have the lowest sales record of anyone here.
しっかりと勉強してる人は引っかかるのではないでしょうか。anyone の使い方に、です。
比較構文を学んだ際、比較級とanyone, anybody を使って最上級と同じ意味の文章を作ったと思うんですが、覚えてますか?
He is tallest of all the people here. = He is taller than anybody here.
(彼はここにいる人の中で一番背が高い=彼はここにいるどの人よりも背が高い)
なんでもいいですがこんな感じで。ところが上で挙げた Pam の台詞は anybody を比較級ではなく最上級と一緒に使ってます。この用法は日本の英語教科書では良しとしていないと思うんですよね。
言うとすれば、
I have the lowest sales record of all the people here.
I have lower sales record than anyone here.
でしょ。
最上級を使う際に of を伴う形が一つの定型ですが、 of の後には複数名詞がくる。そう教えられた(あるいは今でもそう教えている)はずです。実際、(あくまで筆者の見解ですが)その説明は正しいんですよね。
He is the richest of all.
He is the richest of anyone.
うーん、、。やはり前者の方がちゃんとした英語のように聞こえます。てゆーかそうでしょう。じゃあ、なんで Pam は違う言い方をしているのか。
はい、これも英語なんですね。日本語の「ら抜き言葉」じゃないですが、間違っているとされている使い方が広く受け入れられている、という一つの例でしょう。
以前、anyone, everyone, no one といった言葉は単数扱いで、これを受ける代名詞が性別不明の場合は he or she (him or her) を使うのが正しいが、実際には they (them) が使われている、なんて話を書きました。
Everybody has his or her own opinion.
Everybody has their own opinions.
前者が正しいはずなのに実際には後者が使われている、特に会話では、と。
単数なんですが、意味的には”みんな”つまり people なので複数だ、と。Pam の台詞も anyone を 単数ではなく意味上複数として扱ってるんでしょう。
He drank the most of anyone at the party last night.
(あいつ昨日のパーティーで一番飲んでたよ)
すらっと出てきたら相当高度ですね。
おまけが一番長いし、、、。
疲れたのでこのくらいにしておきます。
又次回。