Tuition is very valuable, but what's invaluable is intuition.
前回からの続きですよ~。
もう一度今回取り上げた Michael の台詞(スピーチ)を。
Michael: All right. I came here today because I promised you tuition. And tuition is very valuable. But you know, what's invaluable is intuition. You know what that is? That is the ability to know when something is about to happen. Does anybody out there have intuition? Know what's gonna happen next? Nobody? Okay. You're gonna make me say it.
Michael : それじゃあ挨拶を。今日ここに来たのは、皆さんに学費(tuition) を約束したからです。学費(tuition)は本当に貴重なものです。ではどうでしょう。さらに貴重なもの、それは直観 (intuition) です。それってなんだかわかりますか?それは何かが起ころうとしているのを感じる能力です。皆さんの中に直観 (intuition) のある人はいますか?今、何が起こると思いますか?誰もいない?そうですか、私に言わせるんですね・・・。
2. Tuition is very valuable, but what's invaluable is intuition.
今回のメインディッシュです。
何言ってるんだかさっぱりです。いや、実際意味不明なんです。この件(くだり)で教室の生徒が抜かれるんですが、みんなポカーンとしています。笑っちゃいます。
「約束した学費は払えない」とこれから言わなければいけないんですが、なかなか言い出せない Michael 。いつものように適当な言葉を矢継ぎ早に並べてごまかそうとしてるんですが、どうにもなりません。
詳しく説明させてください。
valuable = 貴重な, 大切な、(特に金銭的に)価値が高い
invaluable = 評価できないほどの, 非常に貴重な
うーん。Michael の台詞と関係なく、そのそも非常に面白い言葉(のペア)ですね。
"in" は接頭語(prefix) で通常意味としては "not" を表します。ですのである言葉に "in" がつくと所謂反対言葉になるわけです。例えば
appropriate (適切な)⇔ inappropriate (不適切な)
effective (効果的な、有効な) ⇔ ineffective (無駄な、無効な)
ところが上にあるように、valuable と invaluable は対義語になっておりません。むしろ同義語。なぜ?
valuable は value 【動詞】価値をつける、評価する に可能性を表す接尾語(suffix) である -able がついたものです。価値を付けることができる、つまり価値がある、という意味なんです。
一方、invaluable は 価値を付けることができない、なんですが、なぜできないか、それはとてつもなく価値があるからだ、ということなんです。なんだそれ、と思いません?
次。
tuition = 学費、授業料
intuition = 直観
あぁ。なんなんでしょう一体。全く意味が異なります。対義語も同義語も類義語もないでしょう。
これについては、どっかの質問サイトで詳しく説明していた方がいました。tuition の語源はラテン語で、元々の意味は 世話、保護なんだとか。それが転じて授業料なんだとか。一方のintuition は世話>>面倒を見る>> 見る で、内側(in) を見る(tuition) だから 洞察 >> 勘、直観なんだそうです。ただのこじつけですよ、こんなの。
それはそれとしてここでも面白いのは prefix の "in" 。つい先ほど "in" は "not" を表すと書いたばかりですが、in は文字通り "in" も表すんです。意味が二種類あるわけです。
in-1 in- /ìn/ ━ 【接頭】 「無…」「不…」(not) の意を表わす接頭辞 (参照: un-1, non-) .
in-2 in- /ɪn/ ━ 【接頭】 in, on, upon, into, against, toward の意を表わす接頭辞 .
困ったら辞書。いつも通り明確な答えをくれます。
Michale は
tuition は valuable
だから
intuition は invaluable
と支離滅裂なスピーチをしています。で intuition (勘)の話になり、勘のいい奴いない?わかるだろ?学費なんか払えないよ!と言ってるんです。
見てらんなくてチャンネルを変えた視聴者の気持ちも分からなくはないのかな。
3. out there
少し面白いと思ったので。
今回の訳文の中でこの2語に相当する言葉を敢えて入れませんでした。訳しようがない、というのではなくて訳さなくてもいい、と言いますか。
もっと言うとそもそも言わなくてもいい言葉ですよ。
Does anybody out there have intuition?
Does anybody have intuition?
ほぼほぼ意味に違いなど生じません。
意味を調べると、「向こうに、あそこに」なんて出てきますが Michael の言葉にその訳をあてるのはおかしいですよね。目の前の人たちに "Does anybody out there ..." と問いかけてるんですから。
out と言う言葉には ”広げて” という意味があります。ですので教室”全体”に皆さん、と言っているという感じでしょうかね。
ただ、ここではこんな風に解釈を試みること自体にあまり意味はないように思います。口語表現には多いんですよ。こんな感じの”副詞(句)”が。言っても言わなくてもいい言葉が。だけどネイティブはよく使うんですね。filler と言ってしまうのもなんですが、喋りのリズムの中に組み込まれてる感じです。
I gotta go down to the supermarket.
I gotta go to the supermarket.
はい。意味に違いなんかありません。じゃあdownってなんだよ、と。
こういう誰でも知ってる、基本中の基本のような言葉( "out" も "there" も "down" も)が実は難しいんですよね。自然に使えるとかっこいいんですけど。
それでは。