a lot of good something does someone"
先日の記事で紹介した Desperate Hosewives の会話の中で使われていた表現です。
違う使用例を探したのですが、同じドラマの同じシーズンからです。ライターが同じなのかな?
夫のカルロスとの結婚生活にうんざりのGabrielleは庭師のバイトJohn(高校生)と不倫中。ですが、高校生のJohnはBreeの娘であるDanielle(こちらも高校生)とも仲良くしています。
Gabrielleはいい大人のくせにそれが気に入らないご様子。電話に出なかったJohnに理由を聞くとJohnは忙しかった、と言います。
Gabrielle: "Yeah, I've seen who you've been busy with." John: "Danielle? Come on, I mean, she's just a friend." Gabrielle: "Well, before you get any friendlier, let me remind you, I can do things to you she can't even pronounce." John: "Well, a lot of good it does me with your mother-in-law following you around all the time.
ガブリエル:あ、そう。誰と忙しくしてたか見てたわよ。
ジョン:ダニエル?勘弁してよ。ただの友達だって。
ガブリエル:あの子ともっと仲良くなる前に言っとくけどね、私はあの子が発音すらできないようなこともあなたにしてあげられるのよ!
ジョン:いつも義理のお母さんに付きまとわれてるのに、どうもありがとう。
かなり意訳気味に訳を付けました。説明がかなり難しいですね、これ。
まずは "a lot of good it does me" という部分だけ切り出して、一般的な意味、ニュアンスを見ていきましょう。
これ、あきらかに文章ではないですね。イディオムと言っていいでしょうか。慣用表現です。
lot の前に "fat" がおかれる形や、good の代わりに "use" や "help" が使われることもあります。
a fat lot of use it does them.
a fat lot of help that'll do us.
こんな風に。
元の表現に戻ります。
a lot of good it does me.
上で文章ではない、と書きましたが、文章と解釈することも可能なのかな?だとするとここでは明らかに「倒置」が使われています。
"do" という言葉なんですが、第4文型を作る用法があるんです。
よそのサイトから勝手にいただいてきましたが、
do+人+good 「人に利益を与える」
do+人+harm 「人に害を与える」
do+人+damage 「人に損害を与える」
こんな感じに。
It does me a lot of good.
これが倒置を解消した本来の文章になるのでしょう。直訳すれば、
「私にとってとても有益です」とでも言いましょうか。
さぁ、これで意味は解りました、と言いたいのですが、ここからが重要です。
これ、この倒置を使った形、慣用表現なので当然特別なニュアンスがあります。日本語で言えば「反語」。アメリカ人の得意な皮肉なんです。
つまり「全く役に立たない」「全くありがたくない」と言っているわけです。
今日の会話に戻ると、Johnが言っているのは
「”いいこと”してくれるって言ってるけど、旦那の母親に嗅ぎまわられてるのに、いつそんなことできるんだよ」ってことなんです。
「いいこと」については説明しませんが、とにかく皮肉。全く役に立たないことにたいして「本当に助かります」、あるいは全くありがたくないことに対して「ほんとにありがとうございます」と嫌味っぽく言っているんです。
"a (fat) lot of good" と聞いたら、皮肉、嫌味を言われていると捉えてください。基本的にポジティブなニュアンスで使われることはありません。
難しいな。