crime of passion
本日はイディオムというよりは”用語”でしょうか。
向こうの映画やドラマで時々出てきます。
Detective Taylor: Neighbors heard them screaming at each other, like for two hours, and it was nothing new. Then they heard the gun go off, both barrels. Crime of passion.
William Somerset: Yeah, just look at all the passion on that wall.
テイラー刑事;近所の人間が怒鳴りあってるのを聞いたってよ。2時間くらいって言ったか。で、何も珍しいことじゃねぇ。銃をぶっ放す音が聞こえたんだと。しこたまにな。”クライム・オブ・パッション”って奴だ。
サマセット刑事:あぁ。見てみろよ、壁に残っているその”パッション”って奴を。
さぁ、映画好きの人は何のシーンかお分かりと思います。サマセット刑事はモーガン・フリーマン。そうです。映画「セブン」の冒頭のシーンです。殺人現場に来たサマセットが同僚の刑事に現場の状況を聞いているシーンですね。壁に飛び散った血を”passion = 情熱”だと言っているわけです。
訳は敢えてカタカナで逃げましたが、”crime of passion"というのは文字通りに言えば、「情熱の犯罪」です。何のことだかよくわかりませんね。ようは「頭にカッと血が上って及んでしまった殺人」
のことを指します。殺しは殺しだと思うのですが、実際にこの表現が裁判なんかで弁護側に使われて、刑が軽減された、あるいはされるということがあるようです。
計画的な犯行(殺人)ではないですよ、殺すつもりはなかったんですよ、突発的な犯行なんですよ、と。どっちでも結果は同じような気がしますが。
で、さらにこの"crime of passion"という表現は、特に狭義では痴情のもつれに端を発する暴力を表すようです。こちらの会話はThe Office からです。社内恋愛のもつれから、暴力沙汰が起きたあと、責任者のマイケルが上司のジャンと電話で会話をしているシーンです。
Michael: No need for consternation. Everything is under control. Jan: Michael, last Friday one of your employees attacked another employee in your office! Michael: It was a crime of passion, Jan. Not a disgruntled employee. Everyone here is extremely gruntled.
マイケル:そんなに大騒ぎすることじゃない。何の問題もないよ。
ジャン:マイケル、先週の金曜日、あなたの部下の一人があなたの職場であなたの別の部下を襲ったのよ!
マイケル:単なる”痴話げんか”だよ。誰かに恨みがある従業員は一人もいない。皆本当に不満はないんだ。
”クライム・オブ・パッション”だと多少状況がましだ、という通念があるんでしょうね。何度も言いますが、殺人は殺人ですし、暴行は暴行なので、その辺はどうなんだと思わなくはないですけど。
ま、とはいえ、また一つ英語を学んでしまいましたね。”crime of passion" です。