cut to the chase
このブログは他所と異なります。
例えば、今日のフレーズ
cut to the chase
についてこれから説明するのですが、このイディオム、ご存知の方も多いと思うんです。
意味も知っている、と。
が、
意味を知っているだけでは不十分です。どういったニュアンスなのか、どういった場面で使うべきなのか、あるいは使うべきではないのか。お話ししましょう。他所と異なるのです。
先に和訳だけ述べておくと、Cut to the chaseは
「要点をまとめろ」「何が言いたいのかはっきりしろ」
といった意味です。
語源については、映画編集者が冗長な映画を編集して、ハイライトであるカーチェイスシーンを早く見せようとした、という話(あるいはこれに似たような話)が有力です。chase=カーチェイス、ということですね。余計なシーンはすっとばして、とっとクライマックスに行け、と。
では、ここで有名シットコム、Seinfeldからの会話を紹介します。
ジョージとジェリーが話をしている状況で、イレインが別の話をし始めます。ジョージは邪魔されて面白くないのですが、イレインとジェリーが話をするのをいったん許します。が、やはりジェリーを自分の話に引き戻したくてイレインとジェリーの間に割って入る、というシーンです。
GEORGE: (interrupting) Uh, can we cut to the chase?
JERRY: Cut to the chase?
GEORGE: Yeah...
JERRY: What're you, "Joe Hollywood"?
ジョージ: (割って入りながら)あー、悪ぃんだけど、さっさと要点を言ってくれよ。
ジェリー: 要点を言え?(cut to the chase?)
ジョージ: ん、あぁ。
ジェリー: 何だお前、ジョー・ハリウッドかよ?
この後も少し解説の必要なやり取りが続くのですがとりあえずこの部分だけに注目しましょう。
ジョージは自分の話を始めたいので、イレインとジェリーに「早く話を終わらせろ」と言っているのですが、これは別にいいんです。
問題はその言葉を聞いたジェリーのリアクション。そして謎の人物”ジョー・ハリウッド”とは?
いやいや。難しいでしょ。ネイティブじゃないと聞いてすぐに会話の肝を理解するのは無理だと思います。
このイディオムですが、先ほど触れた語源から想像つくかもしれませんが、所謂”業界人”が使う言葉何だそうです。まぁ、普通の人が使っても意味は通じるかもしれませんが、特に最近では死後になっているかもしれません。場合によってはこのジョージのように馬鹿にされる可能性が。
そう、ジェリーは業界人でもないくせに、業界人が使うバカみたいなフレーズ”cut to the chase"をジョージが使ったことを馬鹿にしたんです。
無理やりですが、この会話を日本人版にしてみました。
Aさん:今晩何食べる?シースーどう?
Bさん:シースー?
Aさん:ん、あぁ。
Bさん:何だお前、日テレ太郎かよ。
いやぁ、我ながら苦しいですね。日テレ太郎て。
何が言いたいか、汲んでいただければ幸いです。