肉を焼く
食というのはその国や地域の文化をよく表すものです。多分。
言葉にまでその国の食の特徴が表れていたりします。
broil, bake, grill, saute, toast, roast
最近はカタカナ語で使われてますが、これら全部、日本語で言うと「焼く」になります。toast(トースト)はパンを焼く時に使うので外すにしても、
broiled chicken, baked chicken, grilled chicken, roasted chicken, sauteed chicken...
これ全部日本語で言えば「焼いた鶏」ですよね。
何でいろいろ言い方があるんでしょうか。もちろん全て意味が違います。
ここで思うのが、「焼く」という料理法一つとってもこれだけの種類がある、というのは欧米の食肉文化がいかに彼らの奥の方まで根ざしているかを表してるんじゃないかってことなんです。
繰り返しになってしまいますが、食と言語は密接に関わってるというのを示すいい例ではないでしょうか。と思うんです。
saute (ソテー)はフランス語だ、というご指摘はあろうかと思いますが、日本語の「(肉を)焼く」にあまり多くの種類がないのは食肉が一般的になったのが割と最近だったからじゃないのかなぁ、とも思うのです。
アメリカで暮らし始めたときに、アパート(日本で言うマンション)に当然のようにオーブンがついていて、切り替えノブに broil と bake の表示があって、「何が違うんだ?」と思ったのを思い出します。
一方で、逆もありますよ。言葉というか名前ですけど、英語では基本的にキノコ全般を mushroom といいます。日本人はマッシュルームというとあの白くてピザのトッピングに使われている丸っこいキノコのことを指すと思ってますが、マッシュルーム=キノコです。
ですので、お母さんが「エノキとシイタケとマッシュルーム買ってきて」と言うのは「エノキとシイタケとキノコ買ってきて」と言ってるのと同じなんです。エノキもシイタケもキノコじゃん!みたいな。
話がそれてしまいましたが、シイタケは英語で shiitake mushroom で、エノキは enoki mushroom です。恐らくキノコを食べる習慣が向こうの人は浅いのではないかと思います。
海藻もそうです。これは「思います」ではなく「そうなんです」と断言します。彼らは海藻をほぼ食べません。なので海藻全般を seaweed と言います。ワカメもヒジキも全部 seaweed です。まぁ、ワカメもヒジキも海藻なんですが。敢えて区別しようとすると、wakame seaweed とか hijiki seaweed ですね。
ちなみに上述の「焼く」にあたる言葉を少し説明すると
broil (上からの直火で焼く)
bake(オーブンの熱で焼く)
roast (オーブン、又は直火で焼く)
grill (網焼き)
saute (フライパン焼き)
こんな感じですかね。雑だなしかし。
bakeとroastはなんかあまり違いがない気もしますよね。
他にも「焼く」という言葉はあるみたいですが、よろしければ調べてみてください。
締まりなく終わります。