I believe you believe it.
久しぶりの King of Queens です。S04E21から。
下ネタを含むのですが許してください。面白い表現、学んでいただければと思います。
Deacon, Spencer は 主人公 Doug の友達。 Danny はいとこです。Doug はいませんがいつも通り Doug の家のガレージに集まってうだうだやってます。
このエピソードの冒頭で Spencer と Doug が高校の同窓会について話してたんですね。ところが Spencer は昔の女に会うのが気まずくてイヤだと。よくよく聞くとその相手がスペイン語の女教師(Mrs. Mancini)だというのです。自分が男になった時の相手だと。嘘つけ、アホか、という流れです。
Deacon: Hey, you guys want to hit Cooper's for the Mets game on Friday night?
Danny: Ooh. Can't. Me, Doug, and Spence got a reunion that night.
Spencer: Uh, actually, I don't think I'm gonna go.
Danny: Por que? Senorita Mancini?
Spencer: Doug told you about that?
Danny: Si, senor.
Spencer: Ok. Well, hey, it's true, ok? We had a very intense thing together.
Danny: Right, right. That probably happened while I was busy smoking crack with mrs. Greenbaum.
Spencer: I mean, you believe it happened, right, deac'?
Deacon: I believe you believe it.
Deacon: よう、お前ら、金曜の夜 Cooper's 行ってメッツの試合見ようぜ。
Danny: 悪い、無理だ。俺と Doug と Spence、同窓会があるんだよ。
Spencer: それが、俺たぶん行かねぇと思う。
Danny: ポルケ?セニョリータ・マンシーニ? (スペイン語で どうしてですか、マンシーニ先生?)
Spencer: Doug から話聞いたんだな?
Danny: シ、セニョール。( スペイン語で はい、そうです。)
Spencer: いいか、本当の話なんだ。俺たちめちゃくちゃ真剣だったんだ。
Danny: まぁ、そうだろうな。たぶん俺が Mrs. Greenbaum とコカイン吸ってた時の話だろう。
Spencer: Deac, お前は信じるよな?
Deacon: お前が信じてるって信じるよ。
Spence は仲間内でいつも馬鹿にされてるキャラです。まぁ、Danny もそうですが。
その Spence が高校の時に女教師と関係を持った、と言ってるんです。誰も信じてませんし、ただただからかわれいる。そんなシーンです。Danny がスペイン語を使ってるのは女教師がスペイン語を教えてたからです。英語とスペイン語は親戚みたいなものなのでアメリカ人でも話せる人は結構いるんですよね。
1. hit
はい。誰でも知ってる言葉です。なんですけどこういう簡単な言葉が色々な意味でつかわれるんですよね。ここではスラングっぽく使われてます。
辞書を引いてみました。
《口語》〈…に〉達する; 着く, 至る
スゲェ、辞書。さすが。hit にはこういう意味があるわけです。この会話の中ではおそらくもう少し「~に(遊びに)行く」みたいなニュアンスでしょうか。
Why don't we hit Ikebukuro after school today?
学校終わったら池袋行こうよ。
カッコつけ英語ですなぁ。
2. Me, Doug, and Spence + S + V ...
きわめて口語的な英語です。ライティングではNGでしょうね。
固有名詞(Doug, Spence) はいいとして問題は me ですよ。
はい、me は目的格の代名詞です。主語にしちゃだめですよね。
例えば、
Me and my wife, we went to the restaurant last night.
これなんかはまだOKだと思うんです。Me and my wife と言ってから We と言い直してますから。
Me and my wife went to the restaurant last night.
うーん。使うんです。文法的に間違った表現を。ネイティブの連中。
ちなみにこの Danny のセリフは、ちゃんとした英語では
Doug, Spence and I got a reunion that night.
ですよね。で、注意が必要なのは語順。
こんな感じで主格名詞を並べるとき、I は必ず最後、You が必ず最初になります。
You, John, Mike, and I have to go back to the office by noon.
ところが上のようなインチキ(だけど実際によく使われる)英語で目的格を並べるときは、通常 you が最初、で meが2番目に来ます。
You, me, John, and mike have to ...
いやいや。間違った英語にもルールがあるというんでしょうか。
こういう英語もできれば覚えておいていただきたいです。
3. I believe you believe it.
さて、今日触れたかったのはこれです。
Seinfeld で似たような表現があったんでどっちを紹介しようか迷ったんですが。
ちなみにそれは
I don't think so. I know so.
というものです。似てないかな?
いや、言葉遊び的な感じが似てると思うんです。
文脈なしで説明するのが少し難しいんですが、普通、
I don't think so.
と言うと誰かの言葉を否定する文言です。ところが、
I don't think so. I know so.
は真逆。強い肯定になります。なぜでしょう。
直訳すると "そうだと思ってるんじゃなくて、そうだと知っているんだ” ですかね。
think というのは”思う”であって断定的ではないんです。つまりそうじゃない可能性がある、不確かである、と。
筆者はよく英米人に向かって、
That's just what you say( / think).
なんて言い方をします。お前がそう言ってる(思ってる)ってだけだろ。みたいな。
修辞的ですが、ようは「俺はそれが正しいなんて思ってない」ってことなんです。
失礼で嫌味たっぷりです。皮肉が大好きな彼らにはいいんじゃないっすかね。
I believe you believe it
これもなかなか相手を馬鹿にしてますよね。皮肉っぽさ満点。なんというか、言葉遊び的な感じもさらに。「それを信じる」 じゃなくて 「お前がそれを信じてるのを信じる」 と。ようは信じてないんです。さすが Deacon。私のお気に入りキャラです。
(嫌われるかもしれませんけど)使ってみて下さい。